道路には、人や車などが安全かつ効率的に移動できるよう歩道や白線、信号機などの標識があり、その経路も容易に目視で確認できます。これに対し、海上には陸上の道路のような目に見える道路がありません。波やうねりのある海面、あるいは陸岸や建物が見える程度で、遠洋に出れば広大で遮るもののない海面が広がるのみです。このため、船が危険を避け、目的地へ安全かつ効率的に航行するためには、「航路」とよばれる道筋を利用する必要があります。
船が目的地へ向けて無駄のないコースで効率的かつ安全に航海するためには、自船の位置を正確に把握することが極めて重要です。海上では陸上の地図の代わりに「海図」が使われ、船は海図や航海計器などあらゆる手段を活用しながら目的地を目指します。
このように、船が自らの位置を確認し、安全で効率的な航海を行うための「海のみちしるべ」となる灯台やブイ(灯浮標など)などの総称を「航路標識」と言います。
航路標識とは、灯光、形象、彩色、音響、電波などの手段を用い、港や湾、海峡その他の日本沿岸水域を航行する船舶の指標とするための施設です。具体的には、灯台や灯標、立標、浮標、霧信号所、無線方位信号所などのほか、国土交通省令で定められている施設がこれに該当します。
主な種類として、光や形を利用した光波標識(岬の灯台、港の灯浮標など)、視界不良時に音で位置を知らせる音波標識(霧信号所)、電波を利用した電波標識(ディファレンシャルGPSや無線方位信号所など)、文字や音声信号などを利用したその他の標識(船舶通航信号所、潮流信号所など)があります。
なお、航路標識の光り方や利用方法には世界的な統一ルールがあり、外国の海域であっても迷うことなく利用できるようになっています。